コートールド美術館展 魅惑の印象派

コートールド美術館展 魅惑の印象派


画家の言葉から読み解く

フィンセント・ファン・ゴッホ《花咲く森の木々》1889年

ファン・ゴッホの手紙は819通が保管されています。

次はファン・ゴッホが、画家ポール・シニャックに宛てた手紙で、タイトルと同じ風景のスケッチが添えられています。

「前景の葦の垣根に囲まれた果樹園では、小さな桃の木が花盛りだ-この地のすべては小さく、庭、畑、庭、木々、山々でさえまるで日本の風景画のようだ。だから、私はこのモティーフに心惹かれたのだ」

ファン・ゴッホは、この絵を描く前年、1888年2月にパリから南仏アルルへと移り、2年間を過ごします。

パリで浮世絵に触れたゴッホは、アルルに日本を重ねました。

1888年10月に、アルルでゴーガンとの共同生活が始まりますが、年末にファン・ゴッホが自らの耳を切り、交流は2ヶ月で破綻します。

1889年5月に自らサン=レミの療養院に入院します。この作品は、入院直前にファン・ゴッホが描いたアルルの風景です。

時代背景から読み解く

ピエール=オーギュスト・ルノワール《桟敷席》1874年

スナップショットのように見えますが、ルノワールの弟のエドモンドと、モデルのニニ・ロペーズが桟敷席(さじきせき)の様子を演じています。

男性の視線は、舞台ではなく観衆に向いています。桟敷席の着飾った観衆は、パリの最新ファッションをまとい、舞台と同様に見られる存在でもありました。

それまで桟敷席は、新聞や雑誌の挿絵にはありましたが、絵画として描かれることはありませんでした。ルノワールの新しい試みです。

1874年の第1回印象派展に出品された作品です。

コートールドが、《フォリー=ベルジェールのバー》と同額、110,000ドルで購入します。これまでコレクションに費やした中でも、最高額になりました。

ポール・セザンヌ《カード遊びをする人々》1892-96年頃

《カード遊びをする人々》はこの1枚だけではなく、1890年頃に描かれた5点の絵を指します。

登場人物が5人描かれている作品が1点、4人が1点、ふたりが3点です。この作品はふたりの3点の中で、2番目に描かれました。

セザンヌは、これらの作品のために、多くのスケッチや習作を描いています。

そして、本展出品の《パイプをくわえた男》をはじめ、このうちの何点かはそれ自体が、セザンヌの優れた肖像画とされています。

描かれているのは地元の農夫たちです。銀行家の父が購入したセザンヌ家の別荘、ジャ・ド・ブッファンの小作人もいました。


セザンヌは1859年から1899年までの40年間、ジャ・ド・ブッファンにアトリエを構えました。

農夫たちが実際にセザンヌの前で、カード遊びをしたのではなく、彼らを個別に描いたものを、画面で再構成しました。彼らはうつむいており、目配せなどしていないのはそのためです。

コートールドは、コレクションにあたり、手元にある作品との関連を重視していました。《カード遊びをする人々》の購入には、すでに所有していた《パイプをくわえた男》の存在があったと言われています。

エドゥアール・マネ《フォリー=ベルジェールのバー》1882年

フォリー=ベルジェールは、1869年に開店したパリのミュージックホールで、現在も営業を続けています。

画面左上に、アクロバットの両足がわずかに覗いています。

当初は、オペレッタやパントマイムがメインでした。が、1870年代には、アクロバットやヘビ使い、カンガルーのボクシングや、世界一の大男といった多彩なショーで人気を博します。

そして、中産階級、芸術家、官僚、娼婦までが行き交う社交場になりました。

作品はその一角に併設されたバーを描いています。バーメイドは、娼婦になることもありました。

この作品にはふたつの謎があると言われています。

ひとつは、客と対応しているはずメイドが、なぜ両手をカウンターに置き曖昧な表情をしているのか。

もうひとつは鏡像のずれです。1882年のサロン(フランスの芸術アカデミーの展覧会)批判でも、「理解するのが困難な鏡の効果」などと指摘されました。

本来なら、バーメイドのほぼ後ろに映るはずの、ふたりの人物の鏡像が右に大きくずれている点です。

これはマネがバーメイドが引き立つよう画面の構成を優先し、意図的にふたりの人物を右端へ移動させたとされています。

私が思ったのは、ふたりの人物だけではなく、カウンターの鏡像も右にずれ左端が覗いているところです。鏡像がそのように映る視点は、バーメイドの正面ではなく右端です。

同じ考察は以前からありました。次の画像です。男性は画像の左外側に、左前方を向いています。バーメイドとは向き合ってはいません。

素材・技法から読み解く

ポール・ゴーガン《ネヴァーモア》1897年

コートールド美術館展 巡回

2019年9月10日(火)~12月15日(日)
東京都美術館
・入場料  一般= 一般 1,600円 / 大学生・専門学校生 1,300円 / 高校生 800円 / 65歳以上 1,000円 ※中学生以下は無料
・休館日  月曜日
・開館時間 9:30〜17:30(最終入場時間 17:00)
・夜間開室  金曜日、11月2日(土)は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
金曜日は、20:00まで(最終入場時間 19:30)
・問い合わせ先 tel. 03−5777−8600(ハローダイヤル)

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