ピーター・ドイグ展は10月11日(日)まで会期延長になりました。
ピーター・ドイグ展の概要
ピーター・ドイグは、新しい具象(ニュー・フィギュラティブ・ペインティング)と称されるジャンルの画家です。
彼らは、写真・広告・映画のワンシーン・絵はがき、または近代絵画などをもとにして、身の回りの日常を描きました。そして、具象とも抽象ともつかない不思議な世界を創作しました。
ドイグは1994年にターナー賞にノミネートされたことなどで、一躍脚光を浴びることとなります。
ターナー賞は、イギリスのテート美術館が組織する、現代美術の作家に贈られる賞です。19世紀イギリスのロマン主義の画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの名にちなむこの賞は、1984年に創設されました。
毎年春に、50歳以下のイギリス人、イギリス在住の作家の中から4人がノミネートされます。ドイグがノミネートされたときの受賞者は、彫刻家アントニー・ゴームリー(1950-)でした。
アントニー・ゴームリー《接近》1999年 名古屋市美術館蔵 ※展示はありません
翌1995年には、現代美術家ダミアン・ハースト(1965- )が真っ二つに切断された牛と子牛をホルマリン漬けにした作品《Mother and Child, Divided》で受賞します。
ダミアン・ハースト《Mother and Child, Divided》1993年 ※展示はありません
ハーストを筆頭に、イギリスを中心に活動する1990年代当時の若手のコンセプチュアルアーティスト、画家、彫刻家らを、ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(Young British Artists; YBAs)と称します。彼らの大型でスキャンダラスな作品は、賛否両論はあったもののイギリスのアートシーンを席巻(せっけん)していきました。
そのため、時代錯誤とも思われる絵画という表現形式において、これまでにない日常風景を創作するドイグの活動が、新鮮なものとして評価されました。
同世代・後続世代の作家たちに多大な影響をあたえ、過去の巨匠になぞらえて、しばしば「画家の中の画家」と呼ばれています。
この展覧会は、ピータードイグの日本初の個展です。初期作から最新作までを含む油彩画32点と、彼が自身のスタジオで主催する映画上映会のための直筆ポスター「スタジオフィルムクラブ」40点が会場を埋めつくします。
ピーター・ドイグ(1959 – )は、スコットランド・エジンバラ出身の現代美術家です。
運送・貿易会社に勤めていた父の転勤にともない、1962年に、カリブ海のトリニダード島へ移住します。1966年にはカナダへ引っ越し、19歳までを過ごしました。
1979年に、ファインアートを学ぶためロンドンに移ります。
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アート、セント・マーティンズ・スクール・オブ・アートを経て、しばらくロンドンで暮らしますが、1986年に10代を過ごしたカナダに戻ります。そこでは、舞台美術などの仕事に従事しながら絵画制作に取り組みました。
1989年にロンドンに再び戻り、1990年にチェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで修士号を取得します。
2002年には幼少期に住んでいたトリニダード・トバゴの首都ポート・オブ・スペインに制作の拠点を移しました。現在は、ロンドンとポート・オブ・スペインにアトリエを構えています。
ピーター・ドイグ展のみどころはここ
森の奥へ 1986年〜2002年
この時期の作品は主にカナダの風景をテーマとしています。しかし、それを正確に描写するのではなく、常に映画、広告、雑誌、古い絵はがきなど、日常にあるありふれたイメージを参照して作品を制作しました。
《町のはずれで》1986-1988年
《天の川》1989-1990年
《ロードハウス》1991年
《若い豆農家》1991年
《ブロッター》1993年
《エコー湖》1998年
《ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ》2000-02年
海辺で 2002年〜
ドイグはこの頃から海辺の風景を描くようになり、これまで比較的厚塗りだった画面が、薄塗りの油絵具や水性塗料による、鮮やかな色彩の対比によって構成されるようになりました。
《ラペイルーズの壁》2004年
《ピンポン》2006-2008年
《馬と騎手》2014年
《ポート・オブ・スペインの雨(ホワイトオーク)》2015年
《赤い男(カリプソを歌う)》2017年
《夜の水浴者たち》2019年
スタジオのなかでーコミュニティとしてのスタジオフィルムクラブ
スタジオフィルムクラブは、ドイグがトリニダード・トバゴ出身の友人のアーティスト、チェ・ラブレスと2003年より始めた映画の上映会です。ポート・オブ・スペインのドイグのスタジオで定期的に開催されていました。
上映映画の告知でありながら、そのイメージは説明的ではなく、通常の映画ポスターとは距離を置いています。
《東京物語》2004年
《座頭市》2004年
ピーター・ドイグ展の音声ガイドはのんさん
音声ガイドナビゲーターを女優・創作あーちすとの、のんさんがつとめます。
1993年兵庫県生まれ。2016年公開の劇場アニメ「この世界の片隅に」で主人公・すずの声を演じました。
2017年に自ら代表を務める新レーベル『KAIWA(RE)CORD』を発足、2019年ミニアルバム「ベビーフェイス」を発売。
2018年自身初の展覧会『‘のん’ひとり展‐女の子は牙をむく‐』を開催しました。2020年公開の映画「星屑の町」に出演。
「音声ガイドでは、ドイグさん自身の素敵な言葉や、いろいろな作品のストーリーを紹介しているので、ぜひ聴いていただけたらうれしいです」と、のんさん。
特別解説:桝田 倫広(東京国立近代美術館主任研究員/本展企画者)
収録時間:約30分
当日貸出価格:600円(税込)※おひとりさま一台につき
ピーター・ドイグ展のインスタ映えスポットはここ
ピーター・ドイグ展の図録はここがすごい
横位置の作品が多いため、図録も横位置になりました。
表表紙は「PETER DOIG」と、黄色を背景に赤で作家名が組まれています。裏表紙は《ラペイルーズの壁》です。
それぞれの章の扉もこれに倣った配色がなされています。エッセイや解説のページは、全て英訳が添えられ黒一色です。作品ページは全てカラーになっています。
1、2章の作品は1点を見開きで掲載しています。左ページに解説とタイトル、もしくはタイトルだけ。右ページに作品です。作品によっては、さらに次の見開きで一部を拡大したものを掲載しています。
3章は映画上映の告知です。解説はなしで、多くのページでは見開きで作品4点が掲載されています。
ソフトカバー/ W290mm × H210mm/ カラー/ 227ページ/ 日・英
価格:3,000円(税込み)
ピーター・ドイグ展のグッズがかわいすぎる
ピーター・ドイグ展の混雑状況はここをみる
混雑状況は、美術館や展覧会のツイッターに掲載されます。
災害による臨時休館や、イベント情報などリアルタイムで分かります。
【公式】東京国立近代美術館 広報
来館者のツイッターでも、混雑状況を知ることができます。
ツイッターの高度な検索で「ピーター・ドイグ展 混雑」とします。
展覧会の混雑状況をビッグデータから解析するサイトを見ます。
「あの展覧会混んでる?」
ピーター・ドイグ展のチケットはいくら?
当日
一般1,700円/ 大学生1,100円/ 高校生600円
団体
一般1,500円/ 大学生900円/ 高校生400円
※いずれも消費税込。
※団体料金は20名以上
※中学生以下および障がい者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
※キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金でご鑑賞いただけます。
※本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)、コレクションによる⼩企画「北脇昇 ⼀粒の種に宇宙を視る」(2F ギャラリー4)もご覧いただけます。
ピーター・ドイグ展のチケットは、こんな割引もある
下記の展覧会のチケット(半券可)を東京国立近代美術館のチケット売り場で提示すると、本展の当日料金から100円割引になります。
※ほかの割引特典と併用不可。会期中、1枚につき1回1名様まで有効。半券可。
オラファー・エリアソン ときに川は橋となる
東京都現代美術館、2020年6月9日(火)-9月27日(日)
「ピーター・ドイグ展」のチケットを、東京都美術館チケットカウンターで提示すると、当日料金から1割引になります。
ピーター・ドイグ展の会場・巡回先はここ
東京国立近代美術館
〒102-8322 千代田区北の丸公園3-1
開館時間
10:00-17:00(金曜日・土曜日は10:00-20:00)
※企画展は、展覧会により金曜日・土曜日の閉館時間が異なる場合があります。
※いずれも入館は閉館30分前まで。
休館日
月曜日(祝休日は開館し翌平日休館)、展示替期間、年末年始
アクセス
東京メトロ東西線「竹橋駅」 1b出口より徒歩3分
東京メトロ東西線・半蔵門線・都営新宿線「九段下駅」4番出口、半蔵門線・都営新宿線・三田線「神保町駅」1A出口より各徒歩15分
お問い合わせ
Tel.050-5541-8600(ハローダイヤル)